BAV Club

ごあいさつ

2013年より高齢者や手術ハイリスクのsevere AS症例に対して全国168施設(2019年7月18日現在)で積極に治療が実施される「TAVR時代」が到来し、沢山の患者がその恩恵を受けられる様になりました。
一方で、TAVRの適応から外れる症例や治療方針の決定に難渋する症例も多く存在する様になりました。

この様な中、姑息的治療といわれるBAVは緊急時にPCI(経皮的冠動脈形成術)のように簡易に導入できる治療であるという点で一時的緩和療法であっても実臨床の場では特に有用で、さらにBAVは心不全回避について多くの臨床で1年またはそれ以上の期間における効果が見込まれるので根治療法(AVR又はTAVR)へ橋渡しが可能か、ASを解除できればADL(日常生活動作)が向上するのか、又は身体のみならず精神的、社会的フレイルではないか等の様々なケースに対応して真に根治療法の必要な症例を柔軟に選択できるため、症候性ASの多くが超高齢者であるという現実と合わせると、そもそも根治療法に対する精神的・肉体的・経済的な障壁を持つ患者にとって非常に有用な治療選択肢と言えます。

本邦のBAVは1980年代から実施され比較的長い歴史を持つものの、その手技は各施設・術者でそれぞれ異なったままTAVR時代を迎えました。また、井上寛治先生が開発されたMade in Japanのイノウエバルーンを用いて、2005年、坂田芳人先生によって開発された順行性(antegrade)アプローチのBAVは、従来の逆行性(retrograde)アプローチを超えた手技として各地で実施される様ようになりました。
しかしCoronary intervention比べると症例数も少なく未熟な手技でありより安全で有効な手技としていくためには施行施設の経験を集積・共有し、これから導入を検討している施設への情報提供を行いながら、BAVを標準的治療として成熟させることを目的に2016年秋"BAV Club"を立ち上げる運びとなりました。

BAVを実施されている先生はもとより、ご興味をお持ちの先生、研究者、コ・メディカル、学生をはじめ医療に携わる幅広い方々のご参加を心よりお待ちしております。

2019年7月吉日
BAV Club代表世話人 新家 俊郎(昭和大学病院)